女子フィギュアスケートで14歳の選手が注目を集めています。
その選手とは、ロシアのアレクサンドラ・トルソワ選手。
今年行われた大会で、女子選手として初めて4回転ジャンプを2度も成功させたというのです。
新たなスター選手が次々に現れる女子フィギュアスケートですが、今回はこのトルソワ選手に注目しましょう。
まずはアレクサンドラ・トルソワ選手のプロフィールから
【生年月日】2004年6月23日
【身長】148cm
【出身】ロシア・リャザン
女子選手として初となる3種の4回転ジャンプ
トルソワ選手は2004年生まれ、まだ14歳の選手です。
日本でいえば本田望結さんと同い年、中学2年生ということになります(ロシアの義務教育は日本とまた違うみたいですが)。
写真を見ると、まだまだ顔立ちは幼い感じがしますよね。
しかし今のフィギュアスケート界では、この選手が大きな注目を集めています。
そのきっかけとなったのが2018年3月に名古屋で行われた世界ジュニア選手権。
この試合のフリースケーティングで、トルソワ選手は4回転サルコウと4回転トゥーループを見事に決め、圧倒的な得点で優勝したのです。
フィギュアの女子選手が1つのプログラムで4回転ジャンプを2度も決めたのは世界で初めて。
そもそも女子選手で4回転ジャンプを決めたのも、安藤美姫さん以来2人目となります。
思えば安藤美姫さんも2002年、まだ15歳の時に女子選手として初めて4回転ジャンプを決めて話題になっていましたよね。
ですがその安藤美姫さんですらも成功できたのは4回転サルコウだけです。
今回トルソワ選手が決めた4回転トゥループも世界初ということになります。
4回転トゥループに2度の4回転、2つの世界初を決めて、見事に優勝をはたしました。
さらに2018年10月に開催されたジュニアグランプリ・アルメニア大会のフリースケーティングでは、なんと4回転ルッツまで披露。
もちろんこれも世界初です。
これで3種類の4回転ジャンプを成功させたトルソワ選手、この大会でもしっかりと優勝しています。
世界でもっとも難しいジャンプを成功!?
少し話はそれますがそれぞれのジャンプについても少し説明しておきましょう。
フィギュアスケートには6種類のジャンプがあります
トゥループ (右足で滑走・左足つま先で踏み切る)
サルコウ (左足で滑走・左足エッジで踏み切る)
ループ (右足で滑走・右足エッジで踏み切る)
フリップ (左足で滑走・右足つま先で踏み切る)
ルッツ (左足で滑走・右足つま先で踏み切る)
アクセル (左足で滑走・左足つま先で踏み切る)
※反時計回りの場合
上から下の方に行くほど難易度が上がっていきます。
滑走する足はループとトゥループだけが右足で、他の4つは左足滑走となっていますね。
踏み切るもかなり重要で、右足で踏み切るか左足で踏み切るか、つま先から踏み切るかエッジから踏み切るかによってジャンプの種類が変わってきます。
そしてすべてのジャンプは右足で着氷、その関係でコンビネーションジャンプの2つ目は右足滑走のループかトゥループに限定されますね。
また基本的にジャンプは後ろ向きから入り、着氷する時も後ろ向きなのですが、
アクセルだけはジャンプの入りが前向きになり、なおかつ後ろ向きに着氷するため、他のジャンプよりも半回転分多くなります。
トリプルアクセルは浅田真央さんの代名詞ともいえるジャンプですが、他のジャンプに比べても格段に難しいのです。
さてトルソワ選手が成功させた4回転ルッツ。
ルッツ自体がアクセルに次ぐ難易度であるため、4回転ともなると男子でもほんの数人しかできないジャンプとなります。
羽生結弦選手をはじめとして、金博洋選手やネイサンチェン選手なども決めていますが、まだ10人程度でしょうか。
現在4回転アクセルを成功させた選手はいませんから、現状ではこの4回転ルッツが史上最も難しいジャンプとなっています。
しかもトルソワ選手、練習では4回転ルッツ-3回転ループのコンビネーションも決めているそうです。
これを試合で決めてしまったらどれほどの騒ぎになるのでしょうか。
突出した才能は新たな時代を切り開くか
トルソワ選手の才能は、おそらく歴代の選手の中でも突出しています。
14歳にして世界最高のジャンプを跳んでしまうんですから。
2度の4回転を跳んだ2018年の世界ジュニア選手権の技術点は、平昌オリンピックで金メダルを取ったときのアリーナ・ザギトワ選手を上回っていたそうです。
また本人もジャンプには相当なこだわりを持っているみたいで、
「みんなが4回転なら私は5回転を跳ぶ」
と言い放ったほどです。
男子フィギュアではもはや4回転が当たり前の時代になってきましたし、女子フィギュアもいずれ4回転時代が来るとは思われていました。
しかしここまで早く、しかも14歳の選手がその時代を切り開くとは、予想だにもしていませんでしたね。
…紀平の3回転半-3回転トーループと、トルソワの4回転サルコーにワクワク感がある。羽生結弦と金博洋が男子4回転時代を加速させたように、この2人が女子の新時代を切り開くかもしれない。
— blue_cosmos (@BluecosmosH) December 13, 2017トルソワが特殊、まだ子供だし女子の四回転時代なんて来ないって思ってたんだけど、コストルナヤも手軽とか紀平さんも帰ったら練習しますとか、皆カジュアルに取り組んでて、やっぱ今後ガラッと変わりそう。陸上で言う壁が敗れた途端それはもはや壁ではないっていう1マイル4分現象みたいなやつかな。
— neo (@neodanza55) March 13, 2018
ただフィギュア選手の場合、少し背が伸びただけでジャンプの感覚が全く変わったという話もよく聞きますし、そこだけが懸念材料でしょうか。
数年後のトルソワ選手は、いったいどんな選手になっているのか?
いかがでしたか?
14歳ながら女子フィギュアの新たな時代を切り開こうとしているアレクサンドラ・トルソワ選手。
このままいけば、間違いなく世界トップの選手になりうる逸材です。
後は背が伸びたことによってジャンプの感覚が変わることだけが心配ですが、そればかりは本人以外にどうすることもできません。
数年後のトルソワ選手の活躍も楽しみにしつつ、注目していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。